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浦和地方裁判所 昭和59年(行ウ)6号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

一被告が原告に対し、昭和五八年六月一日、原告が本件土地を買受け取得したとして本件処分(不動産取得税賦課)をしたこと(請求原因一)及び原告が本件登記を受けたこと(抗弁一)は、当事者間に争いがなく、被告が本件処分の対象としたのが本件登記にかかるものであることは原告の明らかに争わないところである。

二被告は、①本件登記の原因とされた原告の本件土地取得(買受)があつたと主張し、②仮に、かかる売買の事実がなくても、本件登記がなされた以上、原告が本件土地を取得したものとしてなされた本件処分は適法である旨主張するが、まず①につき判断する。

1 <証拠>を総合すれば、吉田は昭和五八年一月ころ多額の債務を負担しており、その債務の整理を福島に頼んだこと、福島は吉田の債務の弁済のため、吉田の居住していた家屋の敷地である本件土地を第一生命に売却することにしたこと、それより前本件土地のうち別紙物件目録記載一の土地については笠井角三、同記載二の土地には福島をそれぞれ権利者とする代物弁済予約を原因とする所有権移転請求権仮登記がなされていたが、後者は吉田の住居地を確保しようとして福島が考えた方策であるなどいずれも実体がなく右仮登記について同月二六日抹消登記がなされたこと、本件土地を第一生命に売却するには更地にする必要があつたため、売買契約(本契約)に先立ち吉田は第一生命とは売買予約を締結し、同月三一日所有権移転登記請求権仮登記を経由していたこと、ところで福島は本件土地につき第一生命に対する所有権移転登記が経由されるまでに債権者らの差押などがあつて、右売却の目的を達しないことを恐れ、その間登記簿上第三者の名義としておく必要があると考えたが、吉田のいとこである福島の名義としたのでは吉田の親戚から本件土地を乗取つたと思われ、また、債権者等から仮装譲渡と見破られるのを避けるため、吉田となんらの関係のない原告を選んで本件登記の権利者とすることとしたこと、その後同年五月二四日原告に対する本件登記が錯誤を原因として抹消登記され、同月三一日第一生命に対し所有権移転登記がされたこと、また、福島と原告は三〇年前からの知り合いであるが、吉田と原告はまつたく面識がなく、原告は福島を信用して福島に本件登記に必要な書類を渡したが、対象不動産の所在、所有者を知らず、登記済証を受けとつたこともなく、また自己の受けた本件登記がいつ抹消登記されたのかも知らなかつたこと、原告が登記名義を貸しただけであることの確認書(甲第三号証)に原告と吉田が署名したこと、原告は、本件処分の通知書を受けとつたことについて福島に文句を言い、右通知書を福島に送付したことが認められ、原告が本件土地につき具体的な関心をもち、これを占有使用したり、本件土地に関しなんらかの利益を得たり、またそれらのことを意図していたことがあることを窺わせる証拠は全くない。

以上によれば、原告は本件登記を受けたに止まり、吉田から本件土地を買受けたことがないだけでなく、その他なんらかの意味でその所有権を取得したとは認めることはできない。

2 そこで、②(抗弁四)につき判断する。

地方税法七三条の二第一項にいう「不動産の取得」とは「不動産所有権の取得」を意味するが、わが国においては、登記は不動産所有権の取得の対抗要件にすぎないから、不動産取得の有無は、登記を基準としてではなく、実質の法律関係に即して判断されなければならない。

したがつて、被告は、原告が本件登記(所有権移転登記)を経由したことをもつて原告に本件土地の所有権が形式的、外形的に移転しているとし、原告は「不動産の取得」をしたものであると主張するようであるが、理由とならない。

(高山 晨 松井賢徳 原 道子)

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